おちゃだより

雑談、ひとこと、気持ち、、、

長野発→静岡行の運転手 #1

 今年の4月から長野で働くことになった新社会人の僕。週末には中古の60万円のアルトを走らせ、彼女のいる静岡へ向かう。その道中、何気なく思ったことを運転手の僕が日記に記す物語。

 

朝と夜で見える景色、ピンクのかご

 8月5日(土)、午前7時30分。今日は珍しく土曜日に静岡へと向かう。いつもは仕事終わりの金曜日に長野を飛び出すからなんだか新鮮。昨日は部署で飲み会?的なものがあり、さすがに金曜日に長野を出ることはできなかった。先輩ばかりいる中で、「金曜以外が良いです」と言える強心など持ち合わせない&車で出勤する人がほとんどでお酒を飲むなら金曜日が都合がよいという2点セットで金曜日開催は必然であった。

 

 楽しかった飲み会は置いておいて話を戻そう。いつもは明かりが少なく怯えながら運転していた道も、太陽に照らされさえすればもう敵ではない。夜はナビを見て存在を認識する川も、今日はせせらぎを横目で見て、釣り人を発見し、自然を感じることができた。看板しか見ていなかったパン屋さんは、多くのお客さんで賑わいかすかに香ばしいにおいを漂わせていた。一方で夜はピカピカに輝きと存在感を放っていた横浜家系ラーメン屋、たくさんのチェーン店、スーパーたちは太陽の光に圧倒され、影を潜めている。

 

 特に僕の心を引き寄せたのが、野菜や果物の直売所。通り道には何か所も直売の看板、旗がたっており通過するたびに食べたさが増していった。そしてその欲望は頂点に達し、3か所目過ぎたあたりに「次に直売所来たらそこでなんかしら買って行こう。桃がいいな。」と自分の心の中で仕方がないことを強調した。そして山梨県に入ってすぐ10数個の"ももの旗"に彩られた直売所が目に入った。僕は"仕方なく"その直売所に車を止めた。道沿いの小屋のような直売所におじさんがひとり「いらっしゃい」と声をかけてきた。甘い香りに包まれた桃が箱にきれいに梱包され買うか買わないかではなく、桃を何個買うかという問いかけをされているように感じた。最低でも箱には4つ入っていたので、「一番少なくて何個から買えますか」と聞いてみた。「2つで1200円からいいよ」と答えられた。直売って安いイメージを勝手に持っていた僕には高く感じたが、にしても立派な桃でそんな考えはすぐになくなり、早く食べたいという思いへと変わった。ピンク色のかごに白のふさふさと桃を2つ入れてもらった。

 早く行かなきゃ。彼女とお昼ご飯食べる約束があるから。僕は急ぎ目に車に戻り、静岡へ向かった(桃はめちゃ美味しかったです)。